横浜リフレと都市ノイズ｜削られる感覚と意識が戻る場所

人は自覚していない情報をひたすら拾い続けている

視覚だけでも脳には毎秒とんでもない量の情報が流れ込んでいる。 意識に上がっているのはそのごく一部だけ。 残りは全部無言で身体に入っていく。

街を歩くとき人はこんなものを同時に拾っている。

• 遠くの車の減速音の変化
• 歩道を歩く人の歩幅とテンポ
• コンビニの自動ドアの風の強さ
• 街灯の光の色のわずかな違い
• 誰かの視線が通り過ぎた後の空気の残り方
• エスカレーターの微妙な振動と金属音

ほとんどは自覚されない。 脳は全部受信している。 それをその場で捨てるかどこかに押し込むかひたすら続けている。

フィルターが摩耗するとまず削られる

普段の脳はノイズを切り捨てるためのフィルターを持っている。 どうでもいい情報は意識に届く前に落とされる。

けれど都市のノイズを浴び続けるとそのフィルターのほうが先に疲れる。 本来ならスルーできる刺激がそのまま内部に刺さるようになる。

• 会話の音量がやけに大きく感じられる
• 光が強くなくても目の奥が重くなる
• 人の気配が妙に近く感じられる
• スマホの通知が小さな圧力みたいに感じられる
• 歩くだけで情報が多すぎる感覚になる

これはメンタルの弱さではない 単純にフィルターの摩耗 無視できていたものが無視できなくなっているだけ

削られるというのは体力が減ることではなく 情報をさばくリソースが削られていくこと を指している。

感情の明確さが曇ると名前のない疲れが増える

フィルターが薄くなると次に起きるのは感情の解像度の低下 はっきりした悲しさや怒りではなくただのもやが増えていく

• 嬉しいとも悲しいとも言えない気分が続く
• 嫌ではないけれど好きでもないことに囲まれる
• 何もかも面倒な割に何もかも続けてしまう
• 早く帰りたいけれど帰っても休める気がしない

感情が消えているのではなく内面がぼやけている 個別の感情として扱えないから まとめて一つの重さとして胸のあたりに沈んでいく

これがよくある言葉で言えば生きづらさに近い だけどその言葉を貼ると逆に雑になってしまう種類の曇り

自分が自分にとって読めなくなる段階

削られ曇ってくるといちばん困るのは体調ではなく判断のほう いま何をしたいのかが自分にとって分かりにくくなる

• 帰りたいのに帰りたくない理由がぼんやりある
• 一人でいたいのに通知が切れない
• 疲れているのにスマホを閉じる決断ができない
• 休みたいのに休む前に済ませることを探してしまう

ここまでくると自分を読むことが難しくなる 自分の状態をつかまえられないから回復の手前で迷子になる

横浜という街は弱いノイズがずっと続くタイプの都市

横浜の疲れ方は渋谷や新宿のような一撃系ではない 強烈な刺激がドンと来るのではなく 弱いノイズが延々と続くタイプ の街になっている

• 人が多いのに会話の圧が低い
• 光は明るいのに場のテンションは控えめ
• 道が広く歩けてしまう距離がやたら長い
• 海と商業施設が近くて空気だけはゆるい

この環境は感覚が敏い人にとってはありがたい部分もある けれど同時にフィルターをじわじわ削っていく どこにも決定打がないぶんどこでも少しずつ摩耗する

リフレは意識が今にもどってくる場所

リフレが担っている機能を 癒しや接客やサービスの言葉だけで説明するとほぼ全部こぼれる

実際に起きているのはもっと単純でもっと身体寄り

• 都市のノイズがほとんど遮断される
• 人の圧が限りなくゼロに近くなる
• 話してもいいし話さなくてもいい時間が続く
• 何かを選び続けなくてもいい状態に置かれる

こういう条件がそろうと 削れたフィルターが勝手に修復されていく 感情の明瞭さが少しずつ戻ってくる

その結果として起きるのは 心が軽くなるというより 意識が今にもどってくる感覚 に近い

さっきまで曇っていた視界が少しだけクリアになる どうでもよかったものとどうでもよくないものの境界線が もう一度引き直される

リフレは何かを変える場所というより 何かを取り戻す場所として必要とされている 削られすぎて滑り落ちた感覚をいったん拾い集める場所

きれいごとではなく、存のためとして

この時代に都市に住んで、 感度を鈍らせずに生きるのはまあまあの重労働

鈍くなるか削られるかそのどちらかに寄っていきやすい 鈍くなりたくない人は削られやすい側に立つ

その人たちにとってリフレは 好き嫌いとか向き不向き以前に 一度だけ呼吸を整え直すための隠れ家癒しスポット として必要になる

ここで書いたのは外向けの綺麗な説明ではない 実際に起きているプロセスをそのまま言葉にしただけ

削られる感覚と曇っていく視界と そこから意識が戻ってくる瞬間のあいだに リフレという場所が挟まっている 今はそれくらいの理解でたぶんちょうどいい